2021.02.05

倉庫・工場の火災保険の必要性

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「倉庫・工場の火災保険とは」

倉庫・工場の火災保険とは、一般的なマンションや住宅とは異なる火災保険と知らずに倉庫や工場を賃貸している事や、本来は加入しておくべきと認識しながらもあえて加入していないオーナーやテナントも居るのではないでしょうか。火災保険に加入していないと、万が一の事故の際に発生する経済的損失は莫大なものになってしまいます。工場や倉庫などの火災保険の内容や注意点などをご紹介します。

倉庫・工場の火災保険に入っていないオーナーが多い

倉庫や工場などの物件の火災保険は、一般的に建物全体に対してはオーナーが加入することになり、物件を賃貸しているテナントは、利用している建物の設備や扱う商品などへの保険に加入することになります。倉庫や工場以外でも居住用賃貸物件の火災保険でも同様のケースが多く、マンションの賃貸でもオーナーは物件全体に火災保険などをかけているケースが一般的です。

しかし、倉庫や工場などは、オーナーが実は火災保険に加入していないケースも多いのです。倉庫や工場物件のオーナーが火災保険に入っていない理由としては下記が考えられます。

・倉庫や工場など事業用の火災保険を知らない
・火災保険に加入していたが、契約期間が切れてから更新していない
・オーナー自身が自分で倉庫や工場を使っていないから入る必要がないと認識している
・費用が高額なのであえて入っていない

物件を契約するときに仲介会社や管理をしている不動産会社が、倉庫や工場などの火災保険の必要性を認識していないケースもあります。契約をするときに保険の話がなかった場合には、事前に火災保険はどのようになっているのかを確認しておきましょう。

火災保険がカバーしてくれる事象は火災だけではない

工場や倉庫だけでなく居住用も同様なのですが、火災保険はその名前から火災に対してのみの保険であると認識をしている方もいるでしょう。しかし、火災保険とはその物件などがさまざまな理由で被害にあったときに対応する、幅広い保険であるのが一般的な内容です。
地震被害は含まれないため別途加入するケースが多いのですが、それ以外の自然災害である洪水などの水災や落雷に加えて、車両の衝突などによる事故や、第三者による盗難被害なども含まれます。
最近は自然災害が多く、実際に、台風や西日本豪雨などで火災保険未加入の工場が浸水して業務に必要な設備が壊れてしまったことにより、買い替えや修理にかかる膨大な費用が発生してしまい、修繕費用を自費で支払うことになってしまったという事例もあります。こうした天災等による予期せぬ出費に備えるためにも、火災保険への加入は必須と言えます。

工場や倉庫の火災保険の種類

工場や倉庫などの火災保険の内容としては、保険会社や契約などにより異なりますが下記が一般的です。

・災害:火災、落雷、風災、雹災、雪災など
・設備問題:爆発、破裂、漏水など
・事故:輸送用具の衝突、車両衝突、航空機の墜落、航空機からの落下物の衝突など
・その他:商品の盗難、集団行動や労働紛争での破壊行為など

特定のコースや特約などで下記の内容が追加されるケースもあります。

・対象事故などによる二次的な被害:休業損害、営業再開告知費用、残存物の撤去、損害確認の検査費用、再発送の輸送台や梱包材
・事業リスク:従業員の不注意による設備破損、設備不具合による顧客への損害

火災保険の事例

火災保険に加入することにより損害を防げる例として下記があります。

台風による損害

倉庫が大雨による洪水で設備機器の被害を受けたが、設備の復旧費用をまかない被害を抑えることができて早めの事業再開が可能となった

設備による損害

工場清掃中に従業員がコードに引っかかり管理システムが故障したが、復旧の費用が支払われるためすぐに新しいものを導入し、回転率減少には至らなかった

設備による損害

倉庫にて漏水が発生し保管していた商品が汚損や故障が発生したが、商品代を保険で賄うことができたため損害は発生しなかった

爆発による損害

設備が原因で工場に爆発が発生して建物が一部損壊したため、撤去費用と建物の修理や休業などで損害が発生したが、いずれも損害保険金が支払われたため大きな損害とはならなかった

「火災保険の必要性」 賃貸で物件を貸すオーナー編

倉庫や工場における火災保険の費用が高いと感じて、こうした保険に加入していないオーナーもいるかもしれません。しかし賃貸で所有している物件を貸す場合は、注意が必要です。
テナントと契約する内容によって異なりますが、オーナーが賃貸で物件をテナントに貸し出す場合、基本構造(屋根・外壁・柱・土台等)に、契約の目的を達成するのに支障がある損傷、又は損傷が生じる恐れのある場合の修繕費はオーナーの負担となるケースが一般的です。台風などの自然災害による屋根の破損で雨漏れなどが発生した場合、補修金額は膨大なものになります。
賃貸で貸し出しているテナントに損害や危険が及ぶ可能性もあるため、補修工事を急がなくてはいけません。
このように万が一の被害を考えると、予測が難しいケースに対応してもらえる火災保険はリスク回避のため必ず加入しておくべき保険です。

「火災保険の必要性」 賃貸で物件を借りるテナント編

賃貸で物件を借りる場合、入居者として一般的には火災保険に加入していると思いますが、稀に火災保険の事を知らなかった事や不動産会社から紹介して頂けない事や費用が高いと言う理由で加入していな場合もあります。
テナントの火災保険は、災害による商品や設備などの保証以外にも商品の盗難や二次災害にも対応する火災保険もあります。
倉庫や工場、その設備に被害があったときには、その金額は膨大なものになってしまいます。火災保険に加入していなかった場合、事故や災害が理由で自費での負担額が膨大になり廃業することもあり得ると言う事です。こうした万が一の被害を考えると、火災保険は企業や個人事業主に関係なくリスク回避のため必ず加入しておくべき保険です。

「借地人賠償付き特約とは?」

工場や倉庫全体の火災保険はオーナーが加入し、工場内の設備や什器、商品に関しては借りているテナント側が加入するのが一般的ですが、オーナーが借家人賠償責任保険の特約をつけることを義務としているケースも多いようです。保険の種類によっては契約時に最初から含まれており、特約となっていることもあります。これにはいくつかの名称があり、賠償責任等補償特約 、借家人賠償付き特約、借家人賠償付保険などです。
借家人賠償とは倉庫や工場を賃貸で契約中に事故などで損害をあたえてしまった際に、賃貸で借りた時の状態まで回復をしなければいけませんが、その修理費用が補償される契約となります

「もし火災を起こしてしまったら?」

もしも火災保険に入っていないテナントが倉庫や工場で火災を発生させてしまった場合、どこまで賠償責任があるのでしょうか。現在火災保険に未加入である場合には、このリスクを認識しておかなければいけません。

まず、失火法といって、火事の際に隣家へ火が移った場合、その損害を賠償する必要はないという法律があります。しかし失火法は火の扱いに重い過失がある場合には適用されないため、業務上、火気を扱う企業が火事を起こして周囲に損害を出してしまうと重い過失と判断されるケースが多いようです。特に、爆発事故の場合、失火法は適用されません。

重い過失のある火災や爆発事故が起きた場合、まず想定できるのは破損した建物や設備の修理費用でしょう。しかし、それだけではなく、事故の被害がどこまでなのか、事故原因を調査するにも費用が発生します。さらに、破損したことにより工場などを稼働させることができない期間は利益を上げることができず、営業停止による損失が発生してしまいます。とはいえ破損設備の修理が難しい場合もあり、そのときには多大な費用をかけて設備を購入しなければならないため、以前と同様の設備を用意できずに生産性が下がることもあるでしょう。
このように、工場内で被害が済んだとしてもこれだけの被害があり、近隣に影響があった場合にはその建物や住民への賠償も必要です。さらに、事故が大きなニュースになればその企業の印象が悪くなり、売上が減少することも考えなければいけません。

過去に工場爆発による影響額が合計60億円近くと予想されたケースもあります。大規模でなくても億単位の損害賠償がかかる可能性は充分に考えられるのです。工場や倉庫でどんなに安全性を向上させた設備を採用し、操作に注意をしていても、人的ミスによる事故が発生してしまう可能性や、自然災害が発生した場合の被害をなくすことはできません。万が一に備えて、火災保険は必ず加入しておきましょう。

さいごに

工場や倉庫などで火災保険に加入していないオーナーやテナントは一部ですが、工場や倉庫向けの火災保険があることを知らないケースもあれば、経費削減のために未加入というケースもあるでしょう。しかし、火災保険の費用を削減したばかりに数億円の被害が発生することも考えられるのです。工場や倉庫向けの火災保険は保険会社によって補償内容が異なっており、なかには扱っていない保険会社もあります。考えられる事故リスクにしっかり備えることのできる火災保険を選んで加入しておきましょう。