2021.02.09 設備・建築

倉庫と工場の耐用年数の知識【構造別の寿命や修繕の違い】

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倉庫や工場などの建物には、耐用年数というものがあります。この耐用年数を知っておかないと、劣化による破損や自然災害で命に危険が及ぶ可能性もあるので注意しなければなりません。倉庫や工場の耐用年数を事前に理解し、被害防止に努めることが大切です。

今回の記事では、倉庫・工場の耐用年数、各構造による耐用年数の違い、メンテナンスや補修の必要性、さらに各建物における修繕のポイント及び修繕方法の違いについて解説します。

倉庫・工場の建物の構造と耐用年数

建物の種類別の耐用年数建物の種類には、事務所、工場、倉庫、車庫などがあります。それぞれ用途や用いられる材料が異なるので、耐用年数にも差が出てくるのが特徴です。木造で建てられる場合、耐用年数は事務所が24年、工場と倉庫が15年、車庫が17年となります。

資材、用途、また建物を建てる場所や土地の気候など、さまざまな条件によって劣化の進行度合いも異なるという点にも留意が必要です。適切な補修やメンテナンス、リフォームを施すことで耐用年数よりも長持ちさせることもできます。

建物の構造別の耐用年数

建物の構造には、鉄筋コンクリート造、木造、木骨モルタル造などがあります。同じ事務所、倉庫・工場、車庫を建てる場合でも、建物の構造によって耐用年数が違うので注意が必要です。3つの構造の中で、最も強度が高いと言われる鉄筋コンクリート造での耐用年数は、事務所では50年、住宅・飲食店では47年、工場・倉庫・車庫では38年とされています。

建物の種類別と同様に、適切な補修やメンテナンスを定期的に施すことで耐用年数を長持ちさせることが可能です。モルタル造であれば下地の塗り替え、鉄筋コンクリート造であれば外壁のひび割れや劣化を塗り替えで修繕を行います。

構造別の建物の寿命

構造別の建物の寿命

建物の寿命は、施工時に用いられる建材と構造によって大きく異なります。建材と構造によって規定される寿命は「法定耐用年数」と呼ばれているのです。

倉庫に限定して法定耐用年数を見てみると、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造は38年、金属造は31年、木造・合成樹脂造は15年、木骨モルタル造は14年、レンガ・石造・ブロック造は34年となっています。

建物には定期的なメンテナンスが必要

上記の年数はあくまで一般的な数値なので、気候条件・立地・用途などで耐用年数は変化します。また、耐用年数に近づくほど劣化や老朽化が目立つようになるので、定期的な修繕が必要です。適切な修繕を施せば、耐用年数に近づいた建物でも寿命を維持することができます。

補修をする上で重要な点は、適切な時期を見計らってメンテナンスおよび修繕を実施することです。建物が急激に劣化した時点での補修では、余計に費用がかかったり、場合によっては建て替えになったりするケースもあります。

例を挙げると、金属造の倉庫の耐用年数は31年ですが、10~15年おきの補修・メンテナンスが推奨されています。補修・メンテナンスをしなければ、錆や雨漏りが発生する可能性が高くなるからです。ほかの構造でも同様に、建物の寿命を維持するためには定期的な補修・メンテナンスが必要となります。

テント倉庫の耐用年数

国が定めるテント倉庫の耐用年数は、15年~20年程度です。しかし、この数値は目安としての基準値なので、さまざまな条件によって耐用年数は変化します。テント倉庫の耐用年数に大きな影響を与えるのは、立地・気候・資材などです。

立地・気候

立地・気候の面で見ると、テント倉庫の耐用年数には日差しの強さと日照時間が大きく関わります。テント倉庫で使用される膜材は紫外線によって劣化が進むので、日差しが強い場所、日照時間が長い場所では膜材の劣化が早まるからです。

また、海に近い立地も耐用年数に影響を与えます。海に近いと潮風の影響を全面的に受けるので、テント倉庫で用いられる鉄骨と膜材はダメージを受けやすくなってしまうのです。潮風が吹き続ける場所では、錆などが発生しやすいというのは容易に想像できるでしょう。

このように、立地・気候条件の違いによって耐用年数が変わってきます。その立地ではどの構造および資材が最適か、という点については専門の業者とじっくり相談したほうが良いでしょう。

資材

使用される資材によっても劣化の進み具合は異なります。テント倉庫で使用される一般的な資材は、鉄骨フレームと膜材(テント地)です。修繕の目安としては、鉄骨フレームは30年~40年、膜材は10年~15年となっています。

倉庫のメンテナンス時期

倉庫の耐用年数はテント倉庫で15~20年程度、鉄骨造および金属造では30~40年程度が目安です。耐用年数を超えている場合は、全面的な補修や立て直しが必要になるでしょう。

立地や気候、資材によって劣化の進行具合は変わってきます。
例えば、テント倉庫で用いられる膜材は10~15年程度使用すると劣化が進むので、これに合わせて倉庫のメンテナンス時期も10~15年に一度が推奨されるのです。

鉄骨造および金属造の倉庫であっても、10年も経過すればさまざまな部分に劣化が生じるので、耐用年数を待たずに定期的なメンテナンスをしたほうが良いでしょう。テント倉庫であれ、鉄骨造および金属造の倉庫であれ、10~15年に一度は細かな点検を実施し、劣化が進んでいるようであれば補修を検討してください。

倉庫のメンテナンスで重要なことは「耐用年数だけをあてにしない」ということです。耐用年数にかかわらず、台風や地震などの自然的な影響で急激な破損や劣化が起こることもあるからです。あまり耐用年数にこだわらず、目視で劣化・ダメージを確認して補修を実施したほうが確実です。

表面の軽い錆などであれば塗装で補修できますが、劣化が著しい場合は塗装ではなく部材の取り換えが必要になります。

通常の倉庫の修繕とテント倉庫の修繕の違い

通常の倉庫の修繕

通常の倉庫の修繕では、大きく分けて「外装」「内装」「構造」「設備」の4つがポイントです。

外装では、塗装のはがれ、ひび割れ、汚れの進行具合をチェックします。
外装の修繕は、塗り直し・張り直し、またひび割れで水漏れがある場合は防水処理が必要です。内装においても、内装材の劣化を確認して判断します。

構造面では、基礎や梁、柱など、建物の基礎構造部分の劣化をチェックし、この基礎構造の部分は、建物全体の耐久性や寿命に大きく関わるので非常に重要です。
できるだけ専門家の判断を仰ぎながら、補強や建て替えを検討します。

設備の補修では、電気設備、給水・排水設備など設備全般をチェックし、特に水回りの設備では、錆による水道水の濁り、水漏れ、排水の良し悪しのチェックが欠かせません。

テント倉庫の修繕

テント倉庫の修繕では、「骨組み」「テント」「引戸」の3つがポイントです。

骨組みでは、フレームの曲がり、ゆがみ、さらに結合部・脚元のボルトのゆるみなどをチェックしなければなりません。

テントで使用される膜材は、劣化によって破れや穴、雨漏りが生じます。また、ネズミや虫の侵入などさまざまな被害が起こることもあるでしょう。膜材は劣化年数が早いので、定期的なチェックが必要です。引き戸はテント倉庫の出入り口の部分であり、扉やレールの劣化で開閉がスムーズにできなくなったりするので、こちらも定期的に確認することが必要です。

さいごに

倉庫および工場の管理では、定期的なメンテナンスと補修が必須です。しかし、補修も長く続けるとコストが大きくかさんでしまうということもあります。特に台風や地震などの突発的な被害に見舞われた場合は、必要以上に経費がかかってしまうリスクもあるのです。

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