毎年出会うゲリラ豪雨&激台風について!あなたの倉庫、本当に大丈夫?
ここ数年、日本各地で「想定外の雨」が当たり前のように降るようになりました。
ニュースで見る“○○地域で倉庫が冠水”“工場が操業停止”という見出しも、
もう他人事ではありません。

例年比較的、台風被害の少ない大阪でも、
来年、数年後には“過去にない規模の台風”や“過去にない記録的大豪雨”に
直面する可能性があります。
温暖化の影響で降雨パターンも変化し、
「大阪は安全」という過去の常識は、すでに通用しなくなりつつあります。
特に近畿圏では、
・大雨による冠水
・内水氾濫(排水が追いつかない)
・台風通過後の浸水
が年々増加傾向にあります。
倉庫や工場が浸水すると、被害は建物だけにとどまりません。
在庫や設備の損失、出荷遅延、そして取引先への信用問題まで波及します。
「たった数時間の豪雨」が、何千万円単位の損害につながることも珍しくありません。
とはいえ、
「まさかうちが」「うちは川から遠いし」
――そんな声を、毎年のように耳にします。
でも実際には、水害の6割以上が“川から離れたエリア”で発生しているんです。
原因は、道路の排水能力を超える雨量。
つまり、どんな立地でも「明日は我が身」というのが現実です。
そこで今回は、
不動産会社として数多くの倉庫・工場を見てきた立場から、
**豪雨・台風シーズンに備えるための「倉庫の浸水・冠水対策」**を徹底解説します。
「そんなことまで必要なの?」と思うかもしれませんが、
実際に現場を知る人ほど口をそろえて言うのは――
「やっとけばよかった、が一番遅い」
この記事を読めば、
・浸水のリスクを見抜く方法
・建物でできる物理的な対策
・点検・保険などのソフト面の準備
・最新のスマート防災テクノロジー
・そして、家庭にも応用できる防災術
まで一気に把握できます。
では1歩ずつ、具体的に“何を・どこまで”やればいいのかを見ていきましょう。
目次
第1章:倉庫の浸水・冠水リスクを見抜くには?

ここ数年、全国各地で「想定外の豪雨」が相次いでいます。
物流倉庫や工場が被災すると、商品や機械の損失だけでなく、
出荷停止・サプライチェーンの寸断など、企業活動全体に大きな影響が出ます。
とはいえ——「うちは川沿いでもないし大丈夫」と思っていませんか?
実は、**都市型水害(内水氾濫)**の多くは、川の氾濫ではなく、
**排水が追いつかない“雨の逃げ場不足”**から起きています。
ハザードマップで自社の立地をチェック!
まず確認すべきは、各自治体が公開している**「洪水・内水ハザードマップ」**。
地図上で住所を検索すれば、浸水深(cm〜m単位)と想定被害範囲が色分けで表示されます。
✅ チェックポイント
・「0.5m未満」のエリアでも、倉庫では大きな被害になり得る(床上浸水で在庫全損)
・「想定最大浸水深3m」などの表記がある地域は、止水対策を前提にすべき
・近くに河川がなくても、「排水先が1km以上離れている土地」は要注意
例:大阪府の「洪水・内水ハザードマップ」では、内陸部でも水害リスクが明示されています。
とくに八尾市・東大阪市・堺市の低地は、短時間豪雨で冠水報告が多発しています。
地形・地盤で見る“水が溜まりやすい倉庫立地”
倉庫・工場の土地は“平坦”が多いですが、それが逆にリスク。
水はけの悪い地形・造成地では、雨水が敷地内に溜まりやすくなります。
危険サイン
・大雨の後、敷地の一部に水たまりができる
・側溝が細く、勾配(傾き)が緩い
・周辺が盛土されていて、自社敷地だけが「低く見える」
もし上記のような状態があるなら、
排水ポンプや勾配補修の検討を早めに行うべきです。
過去の被害履歴を確認する
「過去に水害があった場所」は、将来も再び起こる可能性が高いです。
国土交通省の**「重ねるハザードマップ」**を使えば、
洪水・土砂災害・高潮の3要素を同時にチェックできます。
また、Googleマップのストリートビューで
「側溝の深さ」や「周囲の高低差」を目視確認するのもおすすめです。
たとえば、倉庫の出入口に向かって道路が下っている場合、
豪雨時に水が集中しやすく“天然のプール”状態になることがあります。
実際の被害事例
2023年7月、大阪府内のある物流倉庫では、
1時間100mmを超える集中豪雨で荷捌きスペースが30cm冠水。
床上に積まれていた段ボール在庫がすべて廃棄となり、損失は数百万円規模に。
原因は「敷地内排水溝の詰まり」と「止水板の未設置」。
設備投資コストよりも損害額のほうが大きく、
「もっと早く対策しておけば…」という声が上がったそうです。
まとめ(第1章)
倉庫や工場の水害リスクは、立地と日常の観察で“見抜く”ことができます。
・ハザードマップで位置リスクを把握
・敷地の水たまり・勾配をチェック
・過去の被害履歴を調べておく
「備え」は、まず“気づく”ところから始まります。
次章では、実際にどんな設備面(ハード)対策が有効なのかを解説します。
第2章:建物でできる浸水・冠水対策(ハード面)

倉庫や工場の浸水被害を防ぐには、まず「物理的な備え=ハード対策」が欠かせません。
ハザードマップでリスクを把握したあとは、“どこから水が入るか”を想定して守ることがポイントです。
入口・出入口の止水対策
倉庫で最も水が入りやすいのはシャッター前・搬入口・通用口です。
大型シャッターは隙間が多く、雨水が一気に流れ込む構造になっています。
✅ 対策の例
・**止水板(しすいばん)**を設置
→ シャッターや出入口の前に設置し、水の流入をブロック。
→ アルミ製やステンレス製などがあり、1人でも取り付け可能な軽量タイプも登場。
・土嚢(どのう)・簡易型止水袋
→ 緊急時はこれが即戦力。最近は「水を吸うと膨らむ止水袋」も販売されており、保管も楽。
→ 通常はシャッター横や警備室に常備しておくと安心。
・シャッター隙間シール・パッキンの補修
→ 経年劣化で水が染みやすくなるため、定期的にチェック。
→ 特に古いスレート倉庫は下部のサビや欠けにも注意。
実際の被害例
大阪府内の工場で、台風時に“わずか2cm”の隙間から水が侵入。
結果、製品が入った段ボールが床上浸水し、出荷できず。
「数センチの油断」が数百万円の損害につながることを現場が教えてくれます。
排水・側溝のメンテナンス
意外と見落とされがちなのが敷地内の排水設備の詰まり。
葉っぱ・土砂・ペットボトルなどが詰まっていると、
雨水が逆流して倉庫内に入り込むことがあります。
✅ 対策の例
・側溝やグレーチングの定期清掃(月1回推奨)
・落ち葉が多い敷地では防葉ネットを設置
・排水口の位置を確認し、「出口が隣地側で詰まりやすい」ケースは事前に共有
ポイント
近年は「敷地内に排水ポンプを設置する」企業も増えています。
電動式だけでなく、停電時でも使える手動ポンプ・発電機対応型も有効。
床・基礎まわりの高さを見直す
建物の床が道路より低いと、雨水が自然流入しやすくなります。
建て替えが難しい場合でも、スロープの勾配調整や一部かさ上げで改善できます。
✅ 対策の例
・床上30cmの“ステップアップ構造”に変更(フォークリフト進入も可)
・排水勾配を再整備して、建物から外へ水が流れるように設計
・倉庫の低地側には集水マス+排水ポンプを設置して水抜き
実際の成功例
堺市の物流倉庫では、
床レベルを10cm上げるリフォームを実施したところ、
毎年悩まされていた冠水がゼロに。
「小規模工事でも効果は絶大」という声が多く聞かれます。
電気・機械設備の位置を“上げる”
水害時に怖いのが、漏電・機械故障・停電トラブル。
分電盤や機械設備が床付近にあると、30cmの浸水でもショートする危険があります。
✅ 対策の例
・分電盤は地上1.2m以上の高さに設置(JIS推奨基準)
・モーター・制御盤はできるだけ高所ラックや壁面に移設
・フォークリフト充電器・コンプレッサーなどもキャスター台上に設置
補足:電源対策
・停電時の備えに可搬型発電機やポータブル電源を常備
・IT機器の保護には**UPS(無停電電源装置)**も効果的
外構・敷地環境で防ぐ
最後に、建物外まわりの見直しも重要です。
✅ 対策の例
・砂利や透水ブロック舗装にして雨水の逃げ場を確保
・敷地の低地側に雨水貯留タンクを設置して一時的に水をためる
・植栽の根が排水管を塞いでいないかを定期チェック
地域による工夫
大阪・堺市や東大阪市では、企業単位で**「雨水流出抑制施設」**を導入する例も増えています。
市補助金が出る場合もあるため、自治体サイトで確認しておくと良いでしょう。
まとめ(第2章)
ハード対策は「物理的に水を入れない・逃がす」が基本。
一度にすべてを導入する必要はなく、**“弱点を1つずつ潰す”**ことが大切です。
・止水板 → 入口防御
・側溝清掃 → 排水確保
・床高調整 → 逆流防止
・設備上げ → 二次被害防止
小さな備えが、大きな損害を防ぐ鍵になります。
次章では、点検・保険・マニュアル整備といったソフト面の対策を見ていきましょう。
第3章:定期点検・保険で“備えの精度”を上げる(ソフト面)

ハード対策が「守る壁」なら、ソフト対策は「支える柱」。
どれだけ立派な止水板を設置しても、管理や連絡ができていなければ意味がありません。
ここでは、日常点検・緊急時対応・保険活用の3つの視点から、備えの精度を高めるポイントを整理します。
日常点検の習慣をつくる
水害対策は「一度やって終わり」ではなく、**“季節ごとのルーティン化”**が理想です。
特に6月(梅雨入り前)と9〜10月(台風シーズン前)は要チェック。
✅ 点検チェックリストの一例
| チェック項目 | コンテンツ | 頻度 |
| 側溝・排水口の清掃 | 土砂・ゴミの詰まり除去 | 月1日 |
| 止水板・土嚢の位置確認 | 敷地内のどこに保管しているか | 季節ごと |
| シャッター下部・パッキン点検 | サビ・隙間・ひび割れ確認 | 半年ごと |
| 電気設備の防水確認 | コンセント・分電盤の高さ確認 | 年に一度 |
| 緊急連絡網の更新 | 担当者・夜間連絡先の確認 | 随時 |
ポイント
・担当者が変わってもすぐ分かるよう、紙とデジタル両方で記録するのが理想。
・Googleスプレッドシートなどで共有しておくと、出先からも確認できます。
緊急時マニュアルを整備する
災害時に混乱する最大の理由は、「誰が何をすればいいか分からない」こと。
停電、浸水、避難――それぞれの場面での判断基準を決めておくことが大切です。
✅ 作っておきたい最低限の内容
・雨量○mm/水位○cmで「止水板を設置」などの行動基準
・夜間や休日の対応責任者(連絡先含む)
・重要書類・PCデータのバックアップ保管場所
・電源オフや機械停止の手順書
・避難経路・避難場所の確認
実際の現場の声
「台風の時に誰が止水板を出すか決まってなくて、結局間に合わなかった」
「担当者が休みで連絡がつかず、機械を止めるのが遅れた」
マニュアルが1枚あるだけで、被害額が桁違いに変わります。
保険の「補償範囲」を必ず確認する
意外と多いのが、「保険に入っているけど、水害は対象外だった」というケース。
火災保険=水害補償が自動で付いているわけではありません。
✅ チェックポイント
・「水災補償」「風災補償」「雪災補償」などの項目があるか
・「床上浸水」のみ対象か、「床下浸水」でも支払い対象か
・保管中の商品・機械設備が補償に含まれるか
・修理費だけでなく、「営業停止による損失補償(休業損害)」があるか
ワンポイント
法人契約の火災保険は、保険金支払い条件が細かく設定されています。
「被害が軽微でも、証拠写真と修繕見積を取っておけば請求可能」な場合も多いので、
いざというときのために“被害の証拠を残す”習慣もつけておきましょう。
取引先・オーナーとの情報共有
賃貸物件の場合、オーナー・管理会社・入居企業の連携も非常に大事です。
水害は「建物側」と「テナント側」で責任範囲が異なるため、トラブルになりがち。
✅ 共有しておくと良い項目
・止水板・排水ポンプの所有者(設置者は誰か)
・冠水被害時の修繕費負担(契約書でどう定めているか)
・緊急連絡体制(夜間や休日の連絡先)
・共同で実施する防災訓練の有無
豆知識
一部の自治体では、**企業同士で「水害時の相互支援協定」**を結ぶ事例もあります。
近隣企業が多い工業団地などでは、ポンプ共有や避難誘導の協力体制を整えておくのも有効です。
点検+記録=信頼資産
倉庫・工場の管理において、
「うちは防災体制を整えています」と言えることは、取引先や保険会社への信頼にも直結します。
日々の点検記録やマニュアル整備を「見える化」しておくと、いざという時の助けにも。
まとめ(第3章)
・ハード面の対策は“設備の守り”
・ソフト面の対策は“人と情報の守り”
どちらか一方では不十分。両輪が揃って初めて、本当の「防災倉庫」になります。
次章では、最新のテクノロジーを活用した**“スマート防災の今”**を紹介します。
IoTセンサーやAI予測を活かした“水害を未然に防ぐ”仕組みを見ていきましょう。
第4章:スマート防災 ― IoTとAIが変える水害対策の最前線

これまでの章では、“人の手で守る防災”を中心に紹介してきました。
しかし近年は、センサー・AI・クラウドといったテクノロジーを活用し、
「人がいなくても水害を察知・防御できる仕組み」が急速に広がっています。
まさに、“止水の世界にもDX(デジタル変革)”の波が来ているのです。
IoT水位センサーで「見える化」
従来の課題は、「どのタイミングで浸水が始まったのかが分からない」こと。
それを解決するのが、IoT水位センサーです。
排水溝やピット、敷地の低地部などに設置すると、水位を自動測定し、
一定の高さを超えるとスマホやPCに警報通知が届きます。
✅ 現場での使い方
・雨量センサーと連動して「○mm超でアラート」
・工場内の地下ピットや機械室に設置して漏水検知
・24時間365日データをクラウド保存し、“見えない場所の水”を可視化
実例
大阪府堺市のある工業団地では、IoT水位センサーを導入後、
「台風の夜でも現場に行かずに確認できた」と管理担当者が話しています。
現場に行かなくても“倉庫の水位がスマホで分かる”時代です。
自動止水板 ― 人が動かなくても発動!
止水板といえば「人が設置するもの」でしたが、
今では自動で立ち上がるタイプも登場しています。
✅ 自動止水板の仕組み
・通常は地面に埋まっており、車両や人の通行を妨げない
・センサーが水を感知すると、自動的に止水板が立ち上がる
・停電時でも油圧式やガス圧式で動作可能
導入例
空港施設・病院・大型物流センターなど、人手での対応が難しい現場に採用。
「現場不在時でも自動で動く安心感」が最大のメリットです。
ポイント
価格は高めですが、BCP(事業継続計画)対策費として計上できる場合もあります。
災害発生時のリスク回避として投資効果が見込まれる設備です。
AIによる「浸水予測」と「行動タイミングの自動通知」
防災アプリの世界では、すでにAIが降雨データから浸水リスクを予測する仕組みが始まっています。
国交省や気象庁が提供するリアルタイム雨量データをAIが解析し、
“あと30分でこの地域が冠水する可能性あり”と通知してくれるものもあります。
✅ 現場活用のイメージ
・工場の立地座標を登録しておくと、ピンポイント警報が届く
・その警報に合わせて「止水板を出す」「機械を停止する」などの行動を自動化
・WMS(倉庫管理システム)と連携すれば、出荷データにも反映可能
実際の動き
Amazonや大手3PL倉庫では、AIが気象情報を分析して出荷ルートを変更する実験も進行中。
水害を「発生してから対処」ではなく、「発生する前に動く」時代になっています。
ドローン+マップで「上空からの危険可視化」
浸水対策というと地面のイメージがありますが、
実際は「上から見て初めて分かるリスク」も多いです。
最近では、ドローンを使って敷地全体を3Dマッピングし、
どの方向から水が流れ込みやすいかをシミュレーションできるサービスが登場しています。
✅ できること
・敷地の高低差を3Dで可視化
・水の流入経路・滞留ポイントを特定
・建物の雨樋や屋根の排水経路も確認可能
豆知識
国交省の「i-Construction」でも、ドローン測量を防災に活用する事例が増加中。
特に大規模工場では、“上空点検”を定期メンテに組み込む企業が増えています。
“家でも使える”スマート防災アイテム
実は、こうした技術の一部は一般家庭でも導入可能です。
IoTセンサーやアラート機能は、倉庫だけでなく自宅にも応用できます。
✅ 家でも活用できるアイテム
・Wi-Fi対応水漏れセンサー(洗濯機・給湯器下に設置)
・スマートスピーカー連動で「水が漏れています」と音声通知
・スマホで遠隔モニタリングできる家庭用カメラ
ポイント
防災は企業だけの話ではなく、“身近な場所のリスク管理”にも通じています。
倉庫での学びが、家庭の安全にも生きるという視点は意外と重要です。
まとめ(第4章)
IoTやAIを活用したスマート防災は、
これまで“人の経験と勘”に頼っていた防災をデータで支える時代に変えています。
・センサーで「気づく」
・AIで「予測する」
・自動設備で「動く」
この3ステップが揃えば、水害リスクは大幅に減少します。
テクノロジーが倉庫を“守る存在”に進化させているのです。
第5章:大阪でできる“現実的な水害対策”まとめ

―― ハード × ソフト × スマート の三本柱で守る
ここまで4章にわたり、倉庫・工場の浸水対策を
「ハード(設備)」「ソフト(管理)」「スマート(デジタル)」の3つの視点から見てきました。
最後は、それぞれをどのように“現実的に運用していくか”を整理していきます。
まず「想定」を可視化する
水害対策の第一歩は、“何を守るべきか”を明確にすること。
防災マップを眺めるだけでなく、実際に倉庫のどこが低いか・どこから水が入るかを
現地でチェックすることが大切です。
✅ おすすめ手順
・市町村の「洪水ハザードマップ」を入手
・Googleマップの航空写真で地形と照合
・雨水の流れや排水口の位置を実際に確認
・建物図面に赤ペンで“危険ゾーン”を書き込む
ポイント
地図上で安全に見えても、「道路の傾斜」「隣地の高さ」で浸水経路は変わります。
“紙上の安全”に惑わされず、現場で見る癖をつけることが肝心です。
優先順位をつけて守る
倉庫・工場は守るべきモノが多すぎて、対策を一度にやるのは現実的ではありません。
だからこそ、**「優先順位を決めて順に対策」**することが長続きのコツです。
✅ 優先の考え方
| 優先度 | 守るもの | 具体例 |
| ★★★★★ | 人命・避難経路 | 従業員・来客の安全確保、避難経路確保 |
| ★★★★☆ | 電気・機械設備 | 分電盤、ポンプ、冷蔵庫、コンプレッサーなど |
| ★★★☆☆ | 商品・在庫 | 高床パレット・防水カバー・棚上移動 |
| ★★☆☆☆ | 建物設備 | 壁・床・シャッターなどの修繕 |
| ★☆☆☆☆ | 外構・美観 | 植栽・舗装などは後回しOK |
実例:東大阪の製造工場
大雨時にポンプ室が浸水した経験から、「電気設備を優先的に高所移設」した結果、
翌年の台風では被害ゼロ。“優先順位の再整理”が最大の改善策となりました。
小さな対策でも“継続”が鍵
どれほど立派な設備を導入しても、メンテナンスを怠れば意味がありません。
一方で、1000円の土嚢でも定期的に見直しておけば実用的な防災資産になります。
✅ 続けるためのコツ
・年1回の「防災チェックデー」を社内イベント化
・新入社員研修に「止水板の設置体験」を組み込む
・点検記録を社内掲示板やLINE WORKSで共有
・「備品を見直す日」を決める(賞味期限付きの非常食なども!)
自治体・地域との連携も視野に
大阪市や堺市などでは、企業防災に関する補助金・助成制度が随時実施されています。
たとえば、止水板や排水ポンプの設置、雨水貯留タンクの導入などに対して補助が出るケースも。
✅ 情報収集のヒント
・「〇〇市 防災 補助金」で検索
・商工会議所・中小企業支援センターの掲示板をチェック
・SNSやLINE公式で自治体情報をフォロー
ポイント
地元企業がまとまって申請すると、**「共同防災エリア」**として採択されやすいことも。
工業団地やテナント群なら、横のつながりを活かして申請するのも手です。
“備えを見せる”ことが信頼になる
取引先や従業員にとって、「この会社は備えている」という安心感は強い信頼になります。
ホームページやパンフレットで「防災への取り組み」を発信するのも有効です。
✅ 発信例
・社内掲示板やSNSに「防災チェック風景」を投稿
・“災害に強い倉庫”としてPR(BCP物件としての価値UP)
・求人募集でも「安心して働ける環境」をアピール
豆知識
実際に、BCP(事業継続計画)を整えている企業は、
自治体や金融機関からの評価が高く、補助金申請や融資でも優遇されやすい傾向があります。
まとめ(第5章・最終)
ハード対策で「物理的に守る」
ソフト対策で「人と情報を守る」
スマート対策で「データで守る」
この3本柱が揃えば、どんな豪雨にも“耐える倉庫”ができあがります。
大切なのは「完璧を目指すこと」ではなく、**「一歩ずつ現実的に進めること」**です。
私たちが当たり前に使っている倉庫・工場は、社会を動かす大動脈。
だからこそ、守るという行為は地域を守ることそのものです。
次の大雨の前に、
「まず1つでもできることを始めてみる」。
それが、最も確実で、そして最も“強い防災”です。
さいごに
ここまで、倉庫や工場の浸水・冠水対策について
ハード・ソフト・スマートの3つの視点から見てきました。
「うちの立地は高いから大丈夫」
「今まで被害は出てないし」
そう思っていた企業が、突然のゲリラ豪雨で被害を受ける——。
ここ数年、そんなケースを何度も目にしてきました。
でも、防災の本質は「恐れること」ではなく、
**“先に知って、備えておくこと”**です。
止水板を出す。
排水口を掃除する。
避難経路を確認する。
――どれも地味で、日常の延長にある行動です。
けれど、その一手間が会社を、そして地域を守る力になります。
もし今日この記事を読んで、
「うちの倉庫もちょっと見直そうかな」
「担当者に一度聞いてみようかな」
と思ってもらえたら、それが何よりの第一歩です。
私たちトチタテビルディングも、
日々たくさんの倉庫・工場を見てきましたが、
本当に“強い建物”というのは、構造や設備だけではなく、
日々の意識と、現場の努力で守られていると実感しています。
防災対策は、企業の信用であり、働く人の安心そのもの。
このブログが、そんな“備えるきっかけ”になれば幸いです。
倉庫・工場の知識をもっと深掘りしたい方へ
弊社が運営する別サイト「倉庫・工場SEARCHブログ」では、
建物構造・契約・設備など、現場目線の記事も多数掲載しています。
倉庫・工場SEARCHブログはこちら
※第1章「重ねるハザードマップ」について
出典:「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/)
(2025年11月利用)
※本記事は、上記サイトの情報を参照のうえ執筆しており、
当社による編集・加工は行っておりません。