いまさら聞けない!物流関係の略語を一網打尽 ~DC・TCから3PL、AGVまで徹底解説~
目次
はじめに
物流の会話を聞いていると、横文字や略語がバンバン飛び交います。
「DCに回してTC経由で送って」
「3PLで外注してるから大丈夫」
「WMS入れたら在庫が一気に楽になった」――。
初めて聞くと「え、暗号?」「何語?」と思うかもしれません。
でも実は、これらは私たちの日常生活と切っても切り離せない存在です。
毎朝コンビニに並んでいるおにぎり、通販で頼んだ商品が翌日に届くこと、スーパーの野菜が鮮度を保ったまま並んでいること…。
その全部の裏側で、この略語たちが活躍しているんです。
つまり物流用語を知ることは、私たちの生活の舞台裏をちょっと覗くことと同じ。
工場や倉庫で働く人たちだけの専門知識じゃなくて、普段の暮らしを支えている仕組みを「なるほど!」と知れるチャンスなんです。
この記事では、物流業界で頻出する略語を一網打尽にまとめました。
単なる用語解説ではなく、実際にどんな現場で使われているのか、日常とどう結びついているのかを具体例と一緒に紹介していきます。
読み終えた頃には、ニュースや現場の会話を聞いたときに「それ知ってる!」とちょっとドヤ顔できるはず。
では、物流の舞台裏をのぞいてみましょう!
第1章:DC(Distribution Center:ディストリビューションセンター)

DCとは?
DCは日本語にすると「配送センター」「物流センター」。
倉庫の中でも “在庫を持ってから出荷する拠点” を指します。
つまり、ただ物を置いておく倉庫とは違い、常にモノが動いているのがDCの特徴です。
主な役割
・在庫の保管
商品を適切な温度・湿度で管理。冷蔵・冷凍・常温などゾーンが分かれる。
・仕分け・ピッキング
店舗や顧客から注文が入ると、在庫棚から商品を取り出す(ピッキング)。
・流通加工
ラベル貼りや値札付け、ギフト包装など出荷前の“ひと手間”。
・配送準備
送り先ごとに箱詰め・パレット積みしてトラックへ。
具体例
・大手スーパーの物流センター
全国から食品や日用品がDCに集まり、そこから各店舗に分散出荷。
冷蔵庫ゾーンには牛乳や野菜、冷凍庫ゾーンにはアイスや冷凍食品、常温ゾーンには乾物や調味料。
「店頭にいつでも商品が並んでいる」のは、裏でDCが毎日細かく補充しているから。
・通販会社の配送センター
EC(ネット通販)で注文が入ると、DCのスタッフがピッキングリストをもとに棚から商品を探し出し、梱包して発送。
Amazonの「プライム翌日配達」も、裏側ではこのDCがフル稼働している。
DCをもっと知る!マニアックな切り口
冷蔵・冷凍DC(コールドチェーンの要)
普通のDCは常温保管がメインですが、食品や医薬品を扱う場合は温度管理が命。
・冷蔵DC:5℃前後。野菜・果物・乳製品などを保管。
・冷凍DC:−18℃以下。アイスや冷凍食品、輸入肉などを保管。
・超低温DC:−50℃以下。マグロやワクチンなど、特殊品を保管。
例:大手コンビニチェーンのDC。
24時間、冷凍・冷蔵・常温の3温度帯に仕分けされ、毎日数百種類の商品を全国の店舗に届けている。
豆知識:冷凍DCでは、作業員が防寒着を着てフォークリフトを操作。夏でも「真冬の雪山登山」と同じ格好をしている。
自動倉庫付きDC(人が歩かない倉庫)
最新のDCには「自動倉庫(AS/RS:Automated Storage and Retrieval System)」が組み込まれている。
・クレーンやシャトルが棚を自動で出し入れする
・ピッキングエリアに必要な商品だけが運ばれてくる
・作業員は歩かずに商品を受け取って梱包するだけ
例:大手家電量販店の物流センター。
何万点もの在庫がコンピュータで管理され、ボタン一つで商品が目の前に。人間は“座ってピッキング”する時代に突入している。
豆知識:天井までびっしり並ぶ棚を自動クレーンが上下に動く光景は、まるで工場のロボットアームを巨大化したよう。
24時間稼働のDC(止まらない物流の舞台裏)
EC(ネット通販)の拡大で、今やDCは昼夜問わず稼働。
・夜間に入荷した荷物をその場で処理
・深夜シフトの作業員がピッキング
・朝までに全国の配送センターへ発送
例:Amazonのフルフィルメントセンター(FC)。
真夜中でもベルトコンベアは動き続け、ロボットが棚を運び、トラックが次々と出発していく。
豆知識:夜のDCは、外から見るとライトアップされた要塞のよう。眠らない街の裏で、物流も眠らずに動いている。
地域ごとに進化するDC
・都市型DC:狭い土地でも効率を上げるため多層階。東京や大阪湾岸部に多い。
・郊外型DC:広大な土地を使い、一棟が東京ドーム数十個分の規模。高速道路IC近くに建つ。
・海外DC:アメリカや中国では“街ひとつ分”の広さを誇るDCも存在。
例:大阪南港のメガDC。
高層建築にランプウェイ(トラックが直接上階に入れる道路)が備わっており、縦方向の物流が可能。
DCと倉庫の違い
倉庫=モノを置く場所。
DC=モノを置きつつ、動かす場所。
つまり、倉庫が“静”ならDCは“動”。
最新トレンド
近年はAIとWMS(倉庫管理システム)を導入した「スマートDC」が増加中。
バーコードやRFIDで入出庫を自動記録し、在庫数はリアルタイムで把握できる。
※RFIDとは・・「Radio Frequency Identification(無線自動識別)」の略。
簡単に言うと、バーコードの“進化版” で、電波を使ってタグやカードに埋め込まれた情報を読み取る仕組み
まとめ(1章)
DCはただの倉庫ではなく、社会のインフラを支える“物流の心臓部”。
私たちが当たり前のようにコンビニで商品を買えるのも、通販で翌日届くのも、このDCが毎日フル回転しているからです。
ただし裏側では、人手不足や繁忙期の負荷といった課題も抱えています。
だからこそ今、AIやロボットの導入が進んでいるのです。
「便利な社会を支える仕組み」と「それを維持する努力の現場」、
両方を知ることでDCの存在がもっとリアルに感じられるはずです。
第2章:TC(Transfer Center:トランスファーセンター)

TCとは?
TCは「トランスファーセンター」、日本語にすると「通過型物流拠点」。
特徴は “在庫を持たない” こと。
荷物を一旦保管するDCとは違い、TCは「入ってきた荷物をすぐ仕分けて送り出す」。
物流の世界では スピード勝負の中継地点 として欠かせない存在です。
主な役割
・短時間の仕分け
届いた荷物を行き先別にすぐ振り分け。
・再梱包・ラベリング
必要に応じて再梱包や伝票貼り替え。
・配送ルートごとに積み替え
関東行き・関西行き・九州行きなど、効率的にトラックに積み直す。
具体例
・宅配便会社の仕分け拠点
全国から集まった荷物がベルトコンベアに乗せられ、バーコードで読み取られて自動的に分岐。
関東方面、関西方面、九州方面へと仕分けされ、数時間後には別のトラックに積み込まれて出発。
クロネコヤマトや佐川急便の「夜間仕分けターミナル」がまさにTCの代表例。
・生鮮食品の通過型センター
農産物や鮮魚が朝に市場から届き、昼までに各スーパーや飲食店向けに仕分け。
冷蔵庫に長期間保管するのではなく、その日のうちに“通過”して消費者のもとへ。
TCをもっと知る!マニアックな切り口
超高速仕分けシステム
大手宅配会社のTCでは、1時間に数万個の荷物を仕分け可能なシステムを導入。
バーコード読み取り機と自動仕分けラインが並び、人間は荷物を流すだけ。
豆知識:最新TCではAIカメラも導入され、ラベルが読み取りにくい荷物も自動で判別できる。
夜のTCは“物流の舞台裏”
多くのTCは夜間稼働が中心。
昼に集荷された荷物が夜のうちに仕分けされ、翌朝には全国の配送拠点へ。
例:ECで夜に注文した商品が翌日届くのは、深夜にTCで仕分けられているから。
外から見ると眠っている町の中で、TCだけは煌々とライトがつき、トラックが出入りしている。
豆知識:夜勤スタッフは、深夜に数万個の荷物が流れるベルトコンベアを相手に作業。まさに“眠らない物流の要塞”。
ピークシーズンの大渋滞
年末年始やセール時期には、通常の2倍以上の荷物が集中。
全国のTCは“物流の大渋滞”状態となり、配送遅延の原因になることも。
豆知識:年末の宅配会社CMで「早めに荷物を!」と呼びかけるのは、TCの処理能力に限界があるから。
仕分け精度の高さ
1日に数十万個の荷物を扱うが、誤仕分けはごくわずか。
誤配率の低さは「日本の宅配は世界一正確」と言われる理由のひとつ。
例:アメリカの宅配では誤配トラブルが頻発するが、日本では“翌日に確実に届く”ことが当たり前。これはTCの仕分け精度が高いからこそ。
都市ごとのTC事情
・首都圏・関西圏のTC → 深夜のトラック集中で「仕分け後の道路渋滞」が課題。
・地方都市のTC → 面積が広く余裕があるため、郊外型で効率的。
・海外のTC → アメリカは広大な土地を活かした巨大ターミナル、中国はEC需要に合わせた超高速仕分け型。
最新トレンド
・AI仕分けシステム
バーコードだけでなく、AIカメラで荷物の形やサイズを認識して自動で仕分け。宅配各社が導入を進めている。
・夜間稼働の強化
EC需要の拡大で「夜間の仕分け能力」が鍵に。深夜に仕分け、早朝に配送開始という24時間シフトが主流になりつつある。
・小型TCの増加
都市部では土地が限られるため、大規模TCだけでなく「小型の分散型TC」が増加。ラストワンマイル配送の拠点として機能。
・再配達削減の工夫
宅配ボックスやコンビニ受け取りと連携し、TCでの仕分け段階から配送効率を高める取り組みが進む。
課題と未来
課題:仕分け作業の多くは夜勤。人手不足で作業員確保が難しい。繁忙期には負担が集中する。
未来:AIによる自動仕分け・ロボットアーム導入で効率化が進行中。
将来的には「ほぼ無人で荷物が流れるTC」も夢ではない。
まとめ(2章)
TCは「荷物を寝かせずに流す」通過型の物流拠点。
宅配会社の仕分けターミナルや生鮮食品の仕分けセンターなど、私たちの生活を影で支えるスピード拠点です。
表に出ることは少ないですが、翌日配達や新鮮な食材の流通を実現しているのは、このTCの存在あってこそ。
物流の“裏方の主役”ともいえる存在です。
第3章:3PL(Third Party Logistics:サードパーティーロジスティクス)

3PLとは?
3PLは 「物流を第三者に任せる仕組み」 のこと。
メーカーや通販会社が、自社で倉庫やトラックを持たず、物流のプロに丸ごと任せるスタイルです。
・物流会社が倉庫を運営
・在庫管理、ピッキング、配送まで一括代行
・発送後の返品処理や問い合わせ対応も担う場合もある
つまり、企業は「商品を作る・売ること」に集中でき、物流の裏側は専門業者に委ねられるのです。
主な役割
・倉庫運営の代行
在庫の保管、入出庫、在庫管理を一括して請け負う。
・出荷作業の代行
注文が入ると商品をピッキングして梱包、出荷手配まで対応。
・配送手配
運送会社との調整や配送ルート設計を代行。
・付帯サービス
流通加工(ラベル貼り・セット組み・検品)、返品対応まで任せられる。
具体例
・アパレル通販サイト
自社には倉庫を持たず、物流会社の倉庫に商品を預ける。
注文が入ると物流会社がピッキングして出荷。返品が来ても物流会社で処理。
→ 企業は在庫を抱えるリスクを減らし、デザインやマーケティングに専念できる。
・食品メーカー
新商品のキャンペーン時、物流を丸ごと3PLに任せる。
スーパーやコンビニへの大量出荷も物流会社が調整。
→ 自社は営業活動に集中できる。
3PLをもっと知る!マニアックな切り口
メリットとデメリット
メリット:物流コスト削減、専門知識の活用、繁忙期でも安定稼働
デメリット:自社で物流ノウハウが育ちにくい、外部依存度が高まる
豆知識:一度3PLに任せると、契約を切り替えるのが難しい場合が多い。物流は“血管”なので簡単に変えられない。
EC拡大で急成長
EC市場の拡大で、3PLの需要は急増中。
特に「フルフィルメントサービス」と呼ばれる、通販向けに特化した3PLが増えている。
例:Amazon FBA(Fulfillment by Amazon)
商品をAmazonの倉庫に預ければ、注文処理から配送、返品対応まで全部やってくれる。
「プライム配送」ができるのもこの仕組みのおかげ。
3PLの進化版「4PL」
3PLのさらに進化版として、4PL(Fourth Party Logistics) も登場。
これは実際に倉庫やトラックを持たず、「最適な物流会社を選んで調整する」コンサル的存在。
企業の物流全体を設計する役割を担う。
豆知識:アメリカではすでに4PLが一般的。日本でも外資系企業を中心に導入が進んでいる。
日本の3PL事情
日本の物流会社も、倉庫管理だけでなく「販促資材の管理」「コールセンター業務」まで手がける例が増えている。
つまり、単なる物流代行から「企業の販売活動を支える総合サービス業」へと進化している。
最新トレンド
・サステナブル物流
環境配慮型が増加。EVトラックや再生エネルギー倉庫を活用し、CO₂削減を売りにする3PL企業が増えている。
・DX化(デジタル・トランスフォーメーション)
WMS(倉庫管理システム)やTMS(輸配送管理システム)を統合し、在庫・輸送・配送をリアルタイムで可視化。荷主もアプリで物流状況を確認できるように。
・フルフィルメントサービス化
保管や配送だけでなく、返品処理や顧客対応まで担う“ワンストップ型”に進化。EC市場の急拡大が背景。
・共同配送の推進
同じ地域に配送する複数企業の商品をまとめて運ぶ「共同配送」が広がっており、ドライバー不足やコスト削減に直結。
課題と未来
課題:物流需要の増加で、3PL業者自体が人手不足や施設不足に直面。
未来:AIによる在庫最適化、ロボット倉庫の導入で効率化が進む。
また「環境対応型3PL」として、再生可能エネルギー活用やエコ配送を取り入れる動きも。
まとめ(3章)
3PLは「物流を丸ごと外部に任せる」仕組み。
ECやアパレル、食品など、多くの企業がこの仕組みを活用することで、物流の効率化を実現しています。
私たちが翌日に商品を受け取れるのも、裏で3PLが在庫管理や配送を担っているから。
まさに “物流の裏方プロフェッショナル” といえる存在です。
第4章:WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)

WMSとは?
WMSは「倉庫管理システム」のこと。
簡単に言えば、倉庫の在庫や入出庫作業をデジタルで一元管理する仕組みです。
紙の伝票や人間の記憶に頼っていた管理をシステム化することで、
「どこに」「何が」「何個あるか」をリアルタイムで把握できます。
主な役割
・入庫管理
倉庫に届いた荷物をスキャンして「いつ・どこから・どれだけ入ったか」を記録。
・在庫管理
在庫数や保管場所を常に最新化。売れ筋商品の在庫切れを防止。
・出庫管理
出荷指示に基づき、正しい商品を正しい数だけピッキングする。
・誤出荷防止
バーコードやRFIDを読み取ることで「間違った商品を出してないか」を自動チェック。
具体例
・ドラッグストアの物流センター
医薬品や日用品を扱うため、誤出荷は絶対に避けたい。
入荷時にバーコードをスキャン、在庫はシステムで一括管理。
注文が入るとWMSが「どこの棚から、何個ピッキングするか」を指示。
→ 作業員は指示通りに取るだけで、ヒューマンエラーが激減。
・アパレルEC倉庫
サイズや色違いの商品が多いアパレルは、在庫管理が特に複雑。
WMSを導入すると、在庫数だけでなく「どのサイズがどこの棚にあるか」まで瞬時に把握可能。
→ セール時に大量注文が入っても、システムが出庫指示を出すのでスムーズ。
WMSをもっと知る!マニアックな切り口
ピッキング方式の進化
WMSは単に在庫を管理するだけでなく、「どうやってピッキングするか」も最適化している。
・トータルピッキング:まとめて拾って後で仕分け
・オーダーピッキング:注文ごとに拾う
・ゾーンピッキング:担当エリアごとに作業分担
豆知識:最新のWMSでは、注文状況を分析して「今日はゾーンピッキングが効率的」と自動判断してくれるものもある。
自動倉庫との連携
WMSは自動倉庫(AS/RS)と連動することで本領発揮する。
・商品を出す指示をWMSが出す
・自動クレーンやシャトルが棚から商品を取り出す
・人間は座って待っているだけで商品が届く
例:大手家電量販店の倉庫では、ピッキングスピードが人間の数倍に。
リアルタイム在庫の威力
昔は「昨日の在庫表」を元に注文を処理していたため、欠品や二重出荷のトラブルが多かった。
WMS導入後は「今この瞬間の在庫数」がわかる。
→ ネットショップで「在庫あり」と表示された商品が実際に届くのは、この仕組みのおかげ。
クラウド化の波
従来のWMSは大規模投資が必要だったが、最近はクラウド型が普及。
中小企業でも月額課金で導入でき、スマホやタブレットで操作可能に。
豆知識:クラウド型WMSは、地方の小規模倉庫でも導入が進んでおり、物流業界全体の底上げに繋がっている。
最新トレンド
・クラウド型WMSの普及
従来は大企業しか導入できなかったが、今はクラウド型の低コストWMSが登場。中小規模の倉庫でも導入が一気に広がっている。
・AI連携による需要予測
販売データと連動し「来週はこの商品が売れる」と予測、前もって在庫配置を最適化できるようになってきた。
・RFID・IoT活用
バーコードの代わりにRFIDタグやセンサーで自動読み取り。棚に触れなくても在庫数を把握できる。
例:ユニクロやGUのレジスピードが爆速なのもRFIDの力。
・多拠点管理
全国に複数ある倉庫をひとつのWMSで一元管理。荷主が「どこの倉庫にどの在庫があるか」をリアルタイムで把握可能に。
課題と未来
課題:システム導入コストが高い/現場のITリテラシー不足/バーコードやRFID読み取りの精度問題。
未来:AIとIoTでさらに進化。需要予測と連動し「来週売れる商品を前の棚に出しておく」といった“予知倉庫”が現実になりつつある。
まとめ(4章)
WMSは「倉庫の頭脳」とも言える存在。
入庫から出庫までを正確に管理し、誤出荷を防ぎ、リアルタイムで在庫を可視化してくれる。
私たちが「ネットで注文したらちゃんと届く」のは、裏でWMSが在庫を見張っているから。
これからはAIと連動して、“考える倉庫” へと進化していくでしょう。
第5章:AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)

AGVとは?
AGVは「無人搬送車」と呼ばれる、自動で荷物を運ぶロボット。
倉庫や工場の中で、人の代わりに商品や棚を運搬する乗り物です。
従来の倉庫では、作業員が歩き回ってピッキングしていましたが、
AGVが登場したことで「ロボットが棚ごと運んでくる」時代に突入しました。
主な役割
・棚や荷物の搬送
商品を人間の元に自動で持ってくる。
・ピッキング効率化
作業員が歩く距離を大幅削減。
・人手不足の解消
労働人口減少の中で、ロボットが倉庫の新しい戦力に。
具体例
・Amazonの倉庫ロボット(Kivaシステム)
オレンジ色の小型ロボットが床を走り、商品棚を丸ごと持ち上げて作業員の前まで運ぶ。
作業員はその場から動かずに商品をピッキングできる。
→ ピッキング速度は従来の数倍に向上。
・国内の大手物流会社
食品や日用品の倉庫でAGVを導入。
棚が自動で移動するので、狭い倉庫でも効率的に作業できる。
AGVをもっと知る!マニアックな切り口
ガイド方式の進化
昔のAGVは床に敷いた磁気テープやレールの上しか走れなかった。
今では AI・センサー・カメラ を駆使して、自分でルートを選んで走行できるタイプも登場。
→ まるで“自動運転車の倉庫版”。
棚ごと動く衝撃
Kivaシステムのすごさは「人が商品を取りに行く」のではなく「棚が人のところに来る」こと。
従来は作業員が1日で何キロも歩いていたが、今はその場で作業が完結。
→ 作業スピードは最大2〜3倍。
日本での導入例
・アパレル倉庫:多品種・少量を効率的に扱えるので導入が進んでいる。
・医薬品倉庫:間違いが許されない商品を、AGVとWMSでダブルチェック。
豆知識:国内では「協働型ロボット」と呼ばれ、人間と一緒に作業できるAGVが増加中。
ロボット同士の交通整理
数百台のAGVが同じ倉庫を走り回ると、渋滞や衝突が起こる。
最新の倉庫では、中央コンピュータが全AGVを同時に制御して“倉庫内の交通整理”をしている。
→ まるで「倉庫内に都市の交通システムがある」よう。
将来の可能性
・ドローンと連携して棚の上部商品を取る
・AIで需要を予測し、出荷予定の棚をあらかじめ作業員の近くに移動
・完全無人化された「ダークウェアハウス」(人がいない倉庫)が現実化
最新トレンド
・Amazon Robotics(旧Kivaシステム)
Amazonの倉庫では数百台のAGVが棚を持ち上げて移動。
世界中の物流現場のモデルケースとなり、「ロボットが倉庫の標準設備」となりつつある。
・協働型ロボットの普及
従来のAGVは人間と同じエリアでは動きにくかったが、最近はセンサーで人を検知してスムーズに共存できる「協働型AGV」が増加。
→ 人とロボットが一緒に働く倉庫が主流になりつつある。
・自律走行(SLAM技術)
床のラインや磁気テープに頼らず、カメラやセンサーで倉庫内を自分でマッピングして走行。
→ 倉庫レイアウト変更にも柔軟に対応できる。
・ロボットフリート管理
数百台のAGVを同時制御し、衝突や渋滞を避けるシステムが普及。
→ まるで“倉庫内の交通管制センター”。
・ダークウェアハウス(完全無人倉庫)への布石
照明すら不要、人間がいない「ダークウェアハウス」を目指して、AGV+ロボットアーム+ドローンの統合が進められている。
課題と未来
課題:導入コストが高い/システム障害が起きると倉庫全体が止まる/保守点検が必須。
未来:AI・5G通信との連携でさらに高度化。
“人とロボットが共に働く倉庫”から、“ロボットが自律的に働く倉庫”へと進化していく。
まとめ(5章)
AGVは物流倉庫の未来を象徴する存在。
商品を人のところまで自動で運び、作業員の負担を大幅に減らしています。
私たちが「Amazonで頼んだ商品が爆速で届く」のも、裏でAGVが棚ごと走り回っているから。
これからはAGVとAIが組み合わさり、“人間が動かない倉庫” が当たり前になる時代が来るかもしれません。
さいごに
ここまでDC・TC・3PL・WMS・AGVの5つを見てきました。
最後にそれぞれを一言でまとめると――
DC(配送センター) … 「在庫を抱えて全国へ動かす“物流の心臓”」
TC(トランスファーセンター) … 「スピード重視の“仕分けマシン”」
3PL(サードパーティ・ロジスティクス) … 「物流を丸ごと任せる“外部の司令塔”」
WMS(倉庫管理システム) … 「倉庫の頭脳、在庫の見張り番」
AGV(無人搬送車) … 「倉庫を走る“未来の運び屋”」
この5つを押さえておけば、物流の基本用語はもうバッチリです。
ニュースや業界の会話を聞いたときにも「あ、それってあの記事で読んだやつだ!」とピンと来るはずです。
ただ正直に言うと、現場ではまだまだたくさんの略語や専門用語が飛び交っています。
LTLやFTL、RFID、クロスドック、ミルクラン…聞いたこともないような言葉が日々登場し、しかも会社や業界ごとにニュアンスが違ったりします。
「物流倉庫マスター」への道は想像以上に奥が深いのです。
でも、難しく考える必要はありません。
今日紹介した5つをスタート地点にして、気になった言葉を一つずつ調べてみる。
すると知識が線でつながり、地図のように広がっていきます。
物流は一見地味に見えて、実は社会を支える巨大な仕組み。
知れば知るほど「こんな世界があったのか!」と面白くなってくるはずです。
ぜひこの記事をきっかけに、あなた自身で物流の世界を“探検”してみてください。
次に宅配便を受け取るときやスーパーに行くとき、
「この荷物ってDCやTCを通ってきたんかな?」
「この商品もしかしてAGVに運ばれてきた?」
と、ちょっと違った景色が見えるかもしれませんよ。
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