【貸し工場の移転・解約の流れ】計画の立て方や物件の探し方も解説
工場の移転を検討している際に、手続きの流れをおおまかにでも把握しておくと、移転に伴う手続きや作業がスムーズに進みます。しかし、準備が不十分だと工場でのトラブル発生にもつながり、それによって事業にも影響が出てしまう可能性があるので注意が必要です。
今回はどの程度の期間で移転準備を進めるべきか、さらに移転に伴う流れや手続き、注意しておくべき点などをご紹介します。今後工場の移転や解約を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
貸し工場の移転・解約の目的
貸し工場の移転・解約をする際、まずは目的を明確にすることが非常に大切です。これらは当たり前のように感じる方も多いですが、実際にはこの理由が定まっていないために、計画の途中で目的があやふやになってしまうということもよくあります。目的を明確にすることで、移転の場合には移転先の条件や選び方も変わってくるのです。スムーズな移転および解約のために、まずは目的をリストアップしておきましょう。
工場の移転や解約をする理由としては賃料の削減、従業員の増加・減少や事業の拡大・縮小、施設の規模拡張・縮小など、目的は様々です。他にも、配送コストや通勤時間を減らすために立地を変えたり、自社工場から貸し工場に乗り換えたりする場合などもあります。解約する場合には、廃業予定の場合や施設老朽化による立ち退きなどの理由も挙げられるでしょう。
移転や解約の理由に優先順位をつけておくと、新たに契約する物件の検討や解約準備が円滑に進みやすくなります。具体的な物件の候補がまだ見つかっていないこの段階では、細かい部分を突き詰めるよりも、会社全体の方向性を定めることが不可欠です。
貸し工場の移転・解約の大まかな流れ
貸し工場を移転・解約するにあたって、スケジュールを事前に立てておくことが非常に重要です。ここでは工場を手放すまでの大まかな流れを解説します。
1.移転・解約の計画
まずは移転・解約の計画を立てます。予算や目的を明確にして、ゆとりを持ったスケジュールを組みましょう。移転をする際には工場の周辺情報を集めて目的に合った立地、環境、設備を検討する必要があります。また、新しい工場に移転するために必要な書類を集めたり、解約予告などについても確認したりしておくことが大切です。
現在、使用している工場に破損している箇所がある場合には、原状回復についても調べる必要があります。これは解約する場合にも必要になってくるので、必ず確認するようにしましょう。工場の移転には長い時間がかかります。7~9か月前から計画を立て始めると、余裕をもって取り掛かることができます。
2.解約予告の通知
通常、解約予告の通知は3~6か月前までに行わなければなりません。移転の場合には、移転日から逆算して計画を立てておくようにしましょう。他にも、引っ越しや新しい工場の内外装工事の依頼をしておく必要があります。複数の業者に見積もりを立ててもらい、自社に最も合ったものを選ぶとよいでしょう。また、電話回線やインターネットの工事も必要になってくるので、確認を忘れずにしてください。
貸し工場の移転・解約の計画を立てよう
上記の期間ごとの移転、解約の流れを元にして計画を進めましょう。きちんと計画立ててひとつずつ確認していかないと、移転後に大きなトラブルにつながるリスクがあります。移転まで3か月を切っている時期は、社内外への説明ができている状態が望ましいです。
また、事前に移転計画が不十分で準備不足の際に起こり得るトラブルとしては下記のような事例があります。
・保管場所や作業スペースが想定と異なる
移転の際の計画が曖昧で、新しい貸し工場の面積やレイアウトが把握できていないと、保管場所や作業スペースが十分に確保できないという事態につながります。従業員が慣れていない環境で作業をすると、作業効率が悪化してしまう可能性があるからです。
・従業員が新しい流れを把握できていない
移転後に物品の保管や作業の流れが大きく異なる場合、各従業員に新しい工場での流れを浸透させておく必要があるでしょう。書面を渡して口頭で説明するだけだと、作業効率の悪化につながります。可能であれば、移転後の工場を想定したレイアウトでのトレーニングを実施するようにしましょう。
・システムにトラブルが発生し、製造が進まない
稼働している設備の配線が誤っている、設置の手続きが漏れていたなどの理由で使用する設備が停止してしまうと、製造ができなくなってしまいます。業者への手配や配線確認はしっかりと行い、実際に運用する前にテスト稼働することも大切です。
(移転の場合)新しい貸し工場を探すタイミングと選び方
希望の条件に沿った移転先がすぐに見つかるとは限らないため、できるだけ早い段階で探し始めるようにしましょう。しかし、条件が異なれば契約する物件も変わってくるため、新しい物件の条件を明確に定めてから本格的に探し始めるのがおすすめのタイミングです。
移転の場合には、現在使用している貸し工場を解約するための手続きと合わせて進めていくことになります。その際、新しい貸し工場と現在の貸し工場の契約期間は数か月ほど重複するのが一般的です。重複すると出費が大きくなりますが、重複する前提で費用を計算しておきましょう。重複しないようにギリギリのスケジュールで進めたばかりにトラブルが発生し、結果として損害がでることになりかねません。
貸し工場は簡単に変更できるものではないので、妥協できない点をリストアップして条件に沿う物件を探しましょう。新しい貸し工場を選定する際のポイントをご紹介します。
・貸し工場の立地状況
取引先への納品だけではなく、従業員が通勤する利便性も考慮しなければなりません。運搬事業者が高速道路を利用しなければいけない場合には、運送費用が高くなります。また、通勤する社員が自宅から遠くなれば、通勤費用が増加するということも覚えておきましょう。
・貸し工場の設備
最大で使用できる電力や電話回線、空調システムなどは工場の製造能力に大きく影響します。特に食肉加工工場など、温度管理やクリーンルームが必要な事業では空調システムは必須です。工場の設備として設置されているかだけではなく、別途業者との契約での導入も検討しましょう。
・貸し工場の面積・レイアウト
現在稼働している工場と同様の配置、もしくはより効率的になる面積やレイアウトかどうかは、必ずチェックしておくべきポイントです。特に製造能力を増加する目的での移転であれば、想定していた量の製造が難しいとなると、移転の意味がなくなってしまいます。
・貸し工場の費用
費用には大きく分けて、初期費用と継続的な賃料があります。何年以上利用するかを想定した期間をもとに、初期費用と賃料の合計金額を計算しましょう。
(移転の場合)新しい貸し工場の契約手続きと注意点
希望に沿った工場の物件が見つかってからも、契約のために必要な手続きはいくつかあります。一般的には申し込み後に重要事項を説明してもらい、初期費用を支払えば契約完了です。契約する事業者によって異なりますが、主には下記の書類が必要となる場合があります。
・入居申込書
・会社の登記簿謄本
・会社の印鑑証明書(3か月以内)
・代表者の印鑑証明書(3か月以内)
・保証人の印鑑証明書(3か月以内)
事前の物件チェックの際にも、注意しておくべき点があります。
・設備の機器や引き継ぎ設備の確認
一般的な賃貸マンションとは異なり、設備が壊れてしまった場合には使用している企業側が修理しなければいけません。契約完了前に必ず問題がないか、チェックしておきましょう。
・内装変更の可否
工場は製造に伴う設備を導入するのが一般的です。必要な設備が最初から整っていない場合、工事の内装を変更ができるかは非常に重要となるでしょう。
さいごに
工場の製造規模や従業員の増減によって、工場の移転はいずれ訪れることです。自社所有での工場と貸し工場の契約を比較すると、下記のメリットがあります。
・新たに建設が不要で、すぐに利用できる
・自社購入よりも初期費用が少ない
・期間限定での運用がしやすい
株式会社トチタテビルディングでは関西地方を中心とした貸し工場の物件仲介を行っています。県別に調べることのできる、「貸し倉庫・貸し工場 SEARCH」も運営していますので、お気軽にご利用ください。