2021.01.28 対策 不動産関係

土地を有効活用して倉庫を新築建築!

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土地をお持ちの方は、「土地をどのように有効活用していくか」で迷う人は多いと思います。
そのまま土地を売却する方法もありますし、マンションやアパート経営にする方法もあります。
方法はいくつかある分、迷う方もいると思いますが、意外と知られていないのが「倉庫」としての活用です。
今回は、土地の売却やマンションの建築など色々な活用法がある中で、倉庫として活用するメリットをお話します。

マンション建築やアパート経営について

まずは、マンションの建築やアパート経営をすることによる土地活用です。
結論から言うと、今はマンション自体の金額が上がりすぎている一方で、消費者マインドが低下しているという理由で、あまりお勧めはしていません。

新築、中古マンションに見るマンション価格の推移

新築、中古マンション価格は、共に現在は直近10年の中でも高い水準で推移しています。
下表※1は首都圏と近畿圏の新築マンションの平均価格推移です。

※1 国土交通省ホームページより
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html

ご覧のように、新築マンションの価格推移は直近10年間で最も高い水準にあります。
国土交通省が公表しているデータは2016年6月現在、平成26年のデータが最新です。
しかし、不動産経済研究所の資料※2を見ると平成27年も高い水準にあったことが分かります。
つまり昨年の2015年も新築マンション価格は直近10年で最も高い水準にあったという事です。

※2 不動産経済研究所
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/235/z2015.pdf

また、中古マンションは新築マンションの価格に連動する傾向がありますので、下表のように中古マンション価格も高い水準にあります。

※ 東京カンテイ 「中古マンション70㎡換算価格推移」2015年(年間版)より
http://www.kantei.ne.jp/release/PDFs/c2015.pdf

その金額はリーマンショック前の2008年の水準とほぼ同等の水準にあります。

マンションは建築費が高騰しているが下落する可能性がある?!

マンションの価格水準が高いことは前項でも分かったと思いますが、その原因の一つは建築費の高騰です。
下表※3のように直近10年を振り返っても建築費は高い水準にあります。
その要因は主に以下3つです。

・一昔前(2008年頃)の中国ミニバブル
・東日本大震災
・東京オリンピック決定

この3つの要因により建築需要が高まりました。
需要が高まるという事は、建築資材と人件費の高騰につながりますので、必然的に建築費は高くなります。

※3 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html

ただ、上述した3要素はいずれも今後の影響力は以下のように少ないと思われます。

・中国ミニバブル→収束に向かっている。
・東日本大震災→復興への目処はある程度ついている。
・東京オリンピックの決定→計画段階は終了しているので、建築需要はこれ以上増えにくい

つまり、今後建築費が「下がる」可能性があるという事です。建築費が下がればマンション価格も下がる可能性があります。

特にマンションの価格を構成している比率を見ると、建築費の影響力が強い事が分かります。
例えば、分譲マンションの販売価格の内訳は、5~6割が建築費、2~3割が土地代、残りが販売経費と利益という構成になっています。

つまり、物件価格の半分以上を建築費が占めているのです。
そのため、建築費の高騰を受けて、前項のようにマンション価格も高水準で推移していきましたが、今後下落する可能性があります。
この詳細は次項以降でお話しますが、その「高水準に位置するマンション価格」を、消費者は2015年末頃までは受け入れる事が出来ていたものの、昨今では消費者マインドは低下しつつあるのです。
更に、建築費が下落するとなると、売主からするとリスク回避のために「マンション価格を下げる」という流れになってもおかしくありません。

現在の消費者マインドは?

マンション価格に対する消費者マインドの変化を一言で言うと、「2015年末頃から陰りが見え始めた」という状態です。
まずは、今の消費者マインドから見ていきましょう。

マンションの消費者マインドは、主に「契約率※4」で判断します。
契約率とは、その名の通りその月に販売を開始したマンションの契約率です。
「初月契約率」とも言い換えられます。

新築マンションを分譲する時には、一度に全戸数売り出す事はほとんどありません。
最初の数か月で何戸売れるかという予測を立て、ある程度売れる戸数分を供給します。
つまり、契約率が低いという事は、その「予想」よりも消費者マインドが低いという事を表しています。

※4 国土交通省ホームページより
http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html

こちらは過去10年余りの新築マンション契約率の推移です。
好不調の分かれ目は70%と言われており、数年間は70%以上の契約率を維持している事が分かると思います。
ここで大事なのは、マンションの価格です。
マンション価格が低い水準の時に契約率が高くても当たり前ですが、先ほど言ったように今のマンション価格は高水準です。

つまり、「マンション価格が高いにも関わらず高い契約率を維持している」という事で、消費者マインドは高いと言えます。

消費者マインドの変化

前項の冒頭で申し上げたように、今の消費者マインドは高いものの2015年末あたりから消費者マインドに陰りが見え始めています。
まだ国土交通省のホームページ上では直近のマンション契約率は更新されていません。
ただし、不動産経済研究所のデータ※5から直近の消費者マインドの低下が見て取れます。
以下が直近のマンション契約率の推移です。

・2016年 4月:58.6%
・2016年 3月:72.9%
・2016年 2月:67.8%
・2016年 1月:66.4%
・2015年12月:67.8%
・2015年11月:82.1%
・2015年10月:68.8%
・2015年 9月:66.0%

※5 不動産経済研究所データより抜粋
http://www.e-sumaisagashi.com/new_page_125.htm
https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/245/s201604.pdf

このように2015年9月~2016年4月の8か月のうち6か月の期間が契約率70%を下回っています。
このままの推移でいくと、2016年度のマンション契約率は70%を下回る可能性もあります。
つまり、新築マンションの消費者マインドは2015年末より冷え込み始めている事を意味しています。

マンション・アパート経営のリスク

今、土地活用としてマンション経営やアパート経営はリスクが大きいです。これまでの事を以下にまとめます。

・現在、マンション価格は高い水準である
・建築費も高い水準であるが、今後下落の可能性もある
・消費者マインドは、この高いマンション価格に追いつけなくなりつつある

つまり、「今」は建築費が高く、マンション経営・アパート経営をするには初期費用が大きくなるリスクがあります。
その分家賃を高く設定出来れば良いですが、今後消費者マインドが冷え込むとすると賃貸市場まで波及し、家賃が下落するリスクがあるのです。

そうなると「高い建築費を支払って、マンション・アパートを建てたのに想定より家賃が低く回収できない・・・」という状態に陥る可能性があるという事です。
勿論、不動産市況が落ち込むかは分かりませんし、建築費が安いタイミングで建築出来るかもしれないので一概には言えません。
しかし、リスクがあるという点はご理解ください。

また、マンション経営やアパート経営には、維持費や修繕金がかかります。
賃借人が出入りする度に室内の補修をする必要がありますし、外観の補修費用もかかります。
管理会社に管理を依頼することがほとんどですので、管理費用も掛かってきます。
その辺のランニングコストのネックがあることも忘れてはいけません。

 

倉庫や賃貸駐車場の経営について

ここまでマンション経営やアパート経営の今後の展望について話をしてきました。
つづいて、倉庫や賃駐車場経営のお話です。
まずは倉庫について、倉庫の経営の魅力とは何でしょうか。
一言で表すと「リスクの小ささ」にあります。
もっと具体的に言うと、「建築費が低く抑えられる」という点と、「経年劣化による価値の下落率が小さい」という二つが挙げられます。
この二つのメリットは、結果的に「家賃下落リスク」が小さいという、全ての不動産経営で最も大事なリスク回避に繋がっていきます。

「建築費が低く抑えられる」

建築費が低く抑えられる理由は「素材を選ぶことができる」という点が大きいです。

これは、マンションと比較をすると分かり易いです。
マンションの素材は、基本的にはRC(鉄筋コンクリート)造りです。
更に、高層のため「免振」や「制振」という地震対策の構造にすると、更に素材の費用は掛かってきます。

しかし、倉庫の建築は「RC・ALC・スレート・角波」など様々な素材を選べます。
マンションと同じRC造の倉庫もありますが、例えば外観上同じ規模のマンションと倉庫を建築した時には、倉庫の建築費用の方が圧倒的に安くなります。
理由は「部屋数」と「施設」です。

マンションは部屋数があるため、部屋と部屋を仕切る戸境壁、室内の中を仕切る間仕切り壁、それぞれの部屋での水周りなど、壁や設備などが多くなるからです。
また、部屋だけでなく、「機械式駐車場」や「駐輪場の設備」など、部屋以外の共用施設も非常に多いため、建築が多くかかります。

しかし倉庫はマンションほど部屋を区切る必要もないですし、例えば物流倉庫だったら、床や壁も打ちっぱなしのコンクリートで十分です。
つまり、素材にかかる費用を抑えられるという事です。
また、天井や壁など部分的にでも良いのでRC以外のALCやスレート、角波を使用すれば更に建築費を抑える事が出来ます。

初期費用である建築費を抑えることができれば、仮に家賃が下落したとしても、倉庫経営者に与える影響は少ないです。
そのため、建築費用を安く抑えられるという事は、家賃下落リスクを小さく(正確に言うと、下落しても影響が小さく)なるという事です。

「経年劣化による価値の下落率が小さい」

倉庫の経年劣化についてもマンションと比較すると分かり易いです。
「経年劣化による価値の下落率が小さい」という言葉を正確に言い換えると、建物が劣化したとしても倉庫としての価値は変わりにくいという事です。

例えば、マンションだと下表※6のように築10年頃から急激にマンション価格(価値)は下落します。
理由は、マンションは「住むもの」だからです。
どうしても、築10年を過ぎてくると室内や外観に多少の劣化が見られ始めます。
それを「住む」という観点で考えてしまうと、価格が下がってしまうのです。

※6 東日本不動産流通機構
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_201203.pdf

一方、倉庫で考えるとどうでしょうか。
倉庫は住むものではなく、「働く場所」や「物を保管する場所」です。
さすがに築数十年を経過したボロボロの倉庫でしたら資産価値は落ちますが、築10年程度であれば、賃料の下落幅も小さいです。
場合によっては下落しない事もあるくらいです。

このように、倉庫に関してはマンションほど外観の綺麗さや室内の綺麗さを重視しない傾向があります。
そのため、経年劣化していったとしても賃料下落のリスクは小さいのです。

つまり、倉庫の経営は建築費を安く抑える事で初期費用を抑えられる。
また、経年劣化しにくいので家賃の下落リスクが小さい。
この二点により、リスクヘッジが出来、安定した収益を上げる事ができる、効果的な土地活用の方法と言えます。

駐車場経営について

駐車場経営についても少し触れておきます。
駐車場経営のメリットも倉庫の経営と似ています。
立体式にしたり、大掛かりな設備を導入したりする時は別ですが、初期費用はマンションほどかかりません。
また、駐車場料金に関しても、周辺環境が劇的に変わらない限りは、変化はあまりありません。
これらの点が倉庫の経営に似ている点です。

さいごに

いかがでしょうか。
意外と知られていない倉庫経営の魅力がご理解頂けたと思います。
初期費用も抑えられ家賃下落リスクも小さいという、不動産経営者としては嬉しい事が多いです。
勿論、マンション経営やアパート経営も初期費用を抑え、家賃下落リスクの小さい「場所」や「建物」を選べば、収益は上げる事ができます。

土地活用を考えているならば、マンション経営やアパート経営など以外に、是非「倉庫経営」も考えてみてはいかがでしょうか。

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